ISO 10113のプロセスとメソッド
ISO 10113の規格ではr‐値の決定に対して3つの手順と2つの試験方法を定めています。
3 つの手順:自動手順では、伸びと幅の変化の両方が伸び計で測定されます。さらに、伸び計で伸びだけを測定する半自動手順と、幅の変化と伸びの両方を手動で測定する手動手順があります。
手動および半自動手順の場合、 r-値は単一点法に従って決定されます。ここで、r-値は、ある程度の塑性伸びで決定されます (たとえば、2% および 5% の塑性伸びでの値の決定を通じて)。
自動手順ではさらに、開発過程、つまり全ひずみ範囲をカバーする回帰法のオプションが提供されます。指定されたひずみ範囲における真の塑性縦ひずみと真の塑性幅ひずみから得られたデータを使用して、傾きを決定します。
回帰法を使用したメソッドにより、シングルポイント法(通常、2%、5%の塑性伸びに基づいて決定される)の場合のようなスナップショットではなく、全領域にわたって平均化されるため、より信頼性の高いr‐値測定が可能となります。
ISO10113における変更点:全ゲージ長さの評価
2020年まで、ISO 10113のr値の決定は、金属材料が一様伸びAgまでの範囲で平行部長さ内にテーパーを示さないという仮定にのみ基づいていました。これに基づいて、幅は試験片の中央で部分的に決定され、この値は標点の全長に適用されるとされてきました。しかし、実際には一様伸び間でも、材料により多かれ少なかれテーパリングは発生しています。1よりも大きなr‐値を持つ材料において、その挙動は明らかに測定可能です。この点は多くの研究で確認されています。
より現実的な計測を行うには、材料のテーパーリングが含まれるため、r-値は標点長さ全体にわたって決定される必要があります。
こういう理由から、ISO10113の規格は2020年8月に改正されました。
より再現性の高いr-値のためのISO 10113(2020-08)の変更
2020年版から、ISO10113(2020-08)は”標点距離全体に理想的に均等に分散された複数のポイントにおける幅の変化を瞬間的に幅減少を測定できる伸び計”の使用を推奨しています。
規格の変更に伴い、現実的な試験結果が決定され、高い再現性が達成されます。加えて、幅と伸びの測定は同じの試験片体積が用いられるためメソッドは理解し易くなりました。
ツビックローエルは特にこの規格の推奨に対応してビデオ伸び計 T-160 Hpを提供しています。この幅計は計測範囲全体に均等に分散された10を超える測定軸を計測します。ISO 10113に準拠した現実的なr-値を測定するだけではなく、r-値試験用に特別に開発されているため非常に高精度の測定が可能となります。