シートメタルとストリップの引張試験
シートメタルやストリップの引張試験は国際規格であるISO 6892-1及び米国の規格に準拠して行われます。加えて、各国や地域で様々な規格によっても行われますが、これら規格は近年ISO 6892-1 へ沿った改正が行われています。EN ISO 6892-1もヨーロッパ規格ですが、ISOと同一の文言となっています。全てのEUの加盟国は各国の規格としてこの規格を採用しています(例えばDIN EN ISO 6892-1)。これら規格に盛り込まれている特性値や測定方法は、試験結果において比較可能となっています。材料の特性を評価するための重要な値は、降伏点、オフセット耐力、ダイの最大強度、最大力でのひずみ、最大応力でのひずみ、および破断時のひずみです。これらの特性値はエンジニア達のベースとして使用されたり、あるいは材料の出荷受入れ時の基準として使用されたりしています。
高温下でのシートメタルとストリップの引張試験
エンジン設計、電力プラント、パワートレイン、化学プラントなどの分野では、使用される材料は約1,200℃まで、またはそれ以上の温度環境におかれ、高温下での材料の挙動を知る事は重要です。これらの分野では温度上昇下における引張試験が主に行われていますが、曲げ試験もまた重要です。ツビックローエルでは、これらの試験を完璧に実施できる高温試験システムを提供しています。これらは、温度制御された炉、試験片グリッププルロッド、高温ひずみ測定装置、およびツビックローエル試験機に統合するためのその他の重要な高温試験アクセサリーで構成されています。
シートメタルとストリップの引張試験ソリューション
ツビックローエルは、引張試験を通じて材料特性を測定するための幅広い静的材料試験機を提供しています。 これらのシステムは、高負荷下でも高精度の試験を提供します。ツビックローエルは、軸方向および横方向ひずみ伸び計の包括的な製品ラインナップを用意しており、要件や試験条件に合わせて最適な組み合わせを選択できます。たとえば、マクロデジタル伸び計と光学式横ひずみ伸び計を組み合わせたものなどです。この組み合わせにより、堅牢性と高度な自動化に加えて、試験片の取り扱いが容易になります。マクロ伸び計は、破断点までの伸びを測定します。伸び計尖端のナイフエッジホルダーは試験片破断時の急激なリリース力によるネガティブな影響を排除します。オプションにて破断場所の認識機能によって、光学式の幅計が試験片を破断まで追尾し、幅を測定し、破断位置の特定を高精度で行っています。
r値およびn値は成形性を示すために引張試験によって決定されます;n値は均一伸びまでの塑性変形時における応力の増加すなわち加工硬化の度合いをあらわす一方、r値は厚み方向、板幅方向のどちらに変形しやすいかという塑性ひずみ値を示します。n値は引張応力とひずみデータから求められます; r値は、試験片にかかる横ひずみも加えて計測することで求められます。引張試験用試験片はロール方向に沿ってストリップあるいはシートから切り出されます。r値はこのロールの方向によって影響を受けます。これはシート材を大量成形加工する場合に非常に重要となります。材料が表面処理中にいかなる変化も起さないように、シート材の厚さは試験片厚さと同一となるようにします。平行長さは、仕上げと同時にフライス加工またはパンチングによって作成され、この加工プロセス中に材料が変化しないようにします。
特徴的な機能は、材料の追加の変形特性を決定するために使用される2 軸引張試験、または十字2 軸引張試験を実行できることです。この試験は主に研究開発分野で行われており、ある決められた応力下で試験片の交差点を分析します。ツビックローエルでは3種類の十字試験機を用意しています。ほとんどのケースでは、ひずみ測定はオプティカル、非接触で行われます。このため、ツビックローエルはさまざまな光学式/非接触式伸び計を提供しています。
シートメタルとストリップの硬さ試験
シートメタル、ストリップの硬さ試験は主に試験片の全体的な表面硬度の特性を評価するため、および金属組織学的調査のために実行されます。アプリケーションに応じて、ISO 6506-1 (ブリネル)、ISO 6507-1 (ビッカース)、ISO 6508-1 (ロックウエル)、ASTM E10 (ブリネル)、ASTM E384 (ビッカースとヌープ)、および ASTM E18 (ロックウェル)の硬さ試験を行います。加えて、その他の硬さ試験メソッドもある特定の分野で行われています(例えば、欧州規格 EN 2002-7 は航空機産業で使用)。
硬度試験は、板金やストリップから大きな構造物を溶接する場合の溶接シーム試験にも使用されます。代表的な例としては造船、海上構造物、ガスなどのパイプライン等です。
DIN EN ISO 9015では試験タイプが定義されています。通常、硬さ試験はビッカース HV5 または HV10 (試験荷重 49 N または 98 N) に従って実行されます。溶接シームの試験中は、母材、熱影響部、溶接金属自体の硬度を試験および監視する必要があるため、溶接シームの断面および横断面に多数の圧痕を作成する必要があります。 この種の試験には自動硬さ試験機がよく使用されます。自動硬さ試験機は、プログラム可能なシーケンスを使用して、所定の位置に自動的にくぼみを配置し、自動的に測定します。
シートメタルとストリップ向け硬さ試験機
ツビックローエルの製品ポートフォリオでは全ての試験メソッドに対して硬さ試験機を用意しています。この全自動システムは特に溶接継ぎ手試験に使用されています。このシステムの利点は人による影響を極力無くし、効率的な試験を大量に行う事が出来る点にあります。ツビックローエルの硬さ試験機は全ての国際規格の要求を満たし、さらに国際規格に基づく校正も実施可能です。ツビックローエルはドイツの規格団体、DAkkSによって硬さ試験機の校正機関として認定を受けています。