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ASTM D412 ゴムとエラストマーの引張試験

ASTM D412規格は、加硫処理した熱硬化性ゴム熱可塑性エラストマーの引張特性を評価するためのプロセスを記載しています。 これらの材料は、航空宇宙、医療、自動車、建築など、さまざまな産業で日々使用されています。

  • 熱硬化性ゴムは熱を加えることで硬化し形状が固まります。 硬化は不可逆的な化学反応であり、熱硬化性ゴム製品をより強く、より耐久性のあるものにします。 熱硬化性ゴムを使用した製品には、タイヤ、ホッケーのパック、サーキットブレーカー、電気筐体、モーター部品などがあります。
  • 熱可塑性エラストマー(TPE)は、ポリマー、ポリマーブレンド、または化合物です。 通常はペレット状で、加熱すると液状になり、金型などに注入することができます。 熱可塑性樹脂は、冷えて固まることで形となります。 このプロセスは、素材を再加熱することで元に戻すことができます。 TPEの用途として、ドライブベルト、ショックアブソーバー、呼吸チューブ、カテーテル、靴底などがあります。

試験の目的 試験実施と特性値 試験装置の要求事項 試験システム 自動化

ASTM D412に準拠したエラストマーの引張試験の目的

  • ASTM D412 は、試験機、試験片(形状とサイズを含む)、及び採用される試験手順とその適切な方法に関する仕様を規定していいます。
  • この試験の目的は、様々な材料特性値を測定し、新製品の開発、製品性能目標の達成、あるいは研究および品質管理に役立てることにあります。

ASTM D412に準拠した試験の実施

ISO D412規格には2つ試験方法が記載されています:メソッドAとB。

  • メソッドAはダンベルとストレートセクションの試験片に基づき、メソッド B はカットリング試験片を使用するものです。
  • ASTM D412に準拠した試験は、引張荷重を掛けたときの材料の弾性と、試験後に荷重を取り除いたときの材料の挙動を測定するために使用されます。
  • 万能試験機引張試験機ともいう)を用いて、500±50mm/minの速度で、試験片が破断するまで試験を行います。

ASTM D412は多くの異なる引張特性の測定に使用されますが、最も重要な特性値には以下のものがあります:

ASTM D412に準拠し決定される特性値

ASTM D1566に基づいた定義 - ゴムに関する用語

  • 引張応力: 試験片を引伸ばすために加えられる応力
  • 所定の伸びにおける引張応力: 試験片の均一断面を所定の伸びまで引き伸ばすのに必要な応力
  • 引張強さ: 試験片を破断点まで引き伸ばしたときにかかる最大引張応力
  • 降伏点: 応力-ひずみ曲線図において、ひずみに対する応力の割合がゼロを通り、負になる可能性のある点で、最終破断の手前にある
  • 最終伸び: 破断時の伸び
  • 引張永久ひずみ: 試験片を引き伸ばした後、所定の方法で収縮させたときに残るひずみで、元の長さに対する割合で表されます

詳細な情報と規格の手順についてはASTM D412規格を参照してください。

ASTM D412に基づく試験片と寸法

  • ゴムやエラストマーの引張試験については、ASTM D412で6種類のダンベル試験片と2種類のカットリング試験片が規定されています。
  • 最も一般的に使用されているのは、全長115mm(4.5インチ)、標線間距離25mm(1インチ)、測定幅6mm(0.25インチ)、厚さ3mmのC形ダンベル試験片(ASTM D412 Type C)、厚みは3回測定し、その中央値を断面積の算出に使用します。

L0標線間距離
L チャック間距離
l1 平行部の長さl /内径
L2掴み部間距離
l3 全長 / 外径
b2 肩部の幅
b1標線エリアの試験片幅
h 厚さ

規格 タイプ 注記 l3
mm
l1
mm
b2
mm
b1
mm
h
mm
L0
mm
形状
ASTM D412 C 推奨試験片 ≥ 115 33 25±1 6+0.05 1.3 ... 3.3 25±0.25 ダンベル試験片
ASTM D412 A 寸法 ≥ 140 59±2 25±1 12+0.05 1.3 ... 3.3 50±0.5 ダンベル試験片
ASTM D412 B 寸法 ≥ 40 59±2 25±1 6+0.05 1.3 ... 3.3 50±0.5 ダンベル試験片
ASTM D412 D 寸法 ≥ 100 33±2 16±1 3+0.05 1.3 ... 3.3 25±0.25 ダンベル試験片
ASTM D412 E 寸法 ≥ 125 59±2 16±1 3+0.05 1.3 ... 3.3 50±0.5 ダンベル試験片
ASTM D412 試験力 寸法 ≥ 125 59±2 16±1 6+0.05 1.3 ... 3.3 50±0.5 ダンベル試験片
ASTM D412 1 推奨寸法 17.9 15.9 1 ... 3.3 50 リング試験片
ASTM D412 2 サイズの大きい試験片 35.8 31.8 1 ... 3.3 100 リング試験片

エラストマー試験の課題

  • 試験片のグリッピング:試験片が伸ばされると薄くなり、グリップ部分から滑り落ちやすくなる。 使用する試験片グリップは、試験片が収縮しても一定の把持力を維持できるものでなければならない。
  • 試験片の伸び: 試験片の長さが長くなると、クロスヘッドの移動距離を十分に長くする必要があります - 従って、ロードフレームの高さも、破断点までの試験片の伸びを収容するのに十分な高さにする必要があります。

ASTM D412に準拠した引張試験用試験システム

ASTM D412に準拠したエラストマーやゴムの引張試験を行うために使用される試験ソリューションには、通常次のような構成が含まれます。

試験機

  • ProLine 材料試験機 標準的な試験や簡単なアプリケーションに対応し、試験エリアの高さは1050 mmから1450 mmまで
  • AllroundLine 材料試験機 – カスタマイズ可能で、試験エリアの高さが1030 mmから2560 mmまでと、高い汎用性を備えています

試験片グリップ

  • 空圧グリップ グリップ力を空圧アクチュエータで発生させます。 引張とグリッピング力を分けてコントロールすることで試験中の一定のグリッピング力を常に保っています。縮みやすい試験片などでは、グリップ力が常に一定に保持され一様に力を空圧にてかけています。
  • ピンサーグリップ: ダブルアクチュエーターグリップ。グリップ力は引張荷重が増えるに従い比例的にピンサー原理で増加していきます。これにより収縮しやすい試験片でも自動で再度しっかりと締付が行われます。

伸び計

  • ロングストローク:測定ストロークが非常に大きく、測定範囲全体にわたって非常に高い分解能 ガイドエレメントの強固な機械設計により、破断時にむち打ち効果を示すような試験片でも、信頼性の高い機能を発揮します。
  • マルチ伸び計 II HP:完全に自動化され、測定範囲全体で最高の精度を実現 測定キャリッジ、測定ヘッド、セントラル測定制御ユニット間の測定信号、制御信号、ステータス信号の送信は、伸び計のマイクロプロセッサーシステムによって処理されます。
  • ライト伸び計:高弾性材料や破壊エネルギーが高く、破断時にしなりやすく、機械や測定システムを損傷する可能性がある接触に敏感な材料用に特別に設計されています。

ASTM D412に準拠した自動引張試験

ASTM D412に準拠したゴムやエラストマーの引張試験は自動化する事も可能です。
コンパクトなロボット試験システムroboTest Lは、最大350本の試験片を自動で試験することができます。システムに組み込まれた厚み測定装置により、正確かつ再現性よく試験片の厚みを測定することができます。

試験片グリッパーが試験片を試験機にセットすると、ASTM D412に準拠した引張試験が自動的に開始されます。 試験終了後、別のグリッパーによって試験片グリップから破断後の試験片を除去します。

ロボット試験システムroboTest Rはより複雑で、試験片のマーキングステーション、センタリングステーション、試験片を正確にコンディショニングするための恒温槽などの追加装置を接続することも可能です。 また、ロボット試験システムの試験片マガジン容量は、必要に応じて拡張することが出来ます。

ASTM D412に関する試験要求事項、課題などご質問がありましたら、いつでも当社へご連絡ください。
皆様のニーズを話し合うことを楽しみにしております。

問合せ

ASTM D412に関するよくある質問

ASTM D412規格は、加硫処理した熱硬化性ゴムと熱可塑性エラストマーの引張特性を評価するためのプロセスを記載しています。これらの試験は、ゴムやエラストマー材料の機械的特性を決定するために重要であり、航空宇宙、医療、自動車、建設などのさまざまな業界における製品開発、品質保証、性能試験にとっても重要です。

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